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更年期障害と鍼灸治療


女性は、年齢とともに、「思春期」、「性成熟期」、「更年期」、「老年期」という4つのライフステージを経験するといわれています。このうち「更年期」は、個人差はありますが50歳前後の閉経の時期をはさんだ前後10年間をいいます。更年期には、女性ホルモンのバランスが崩れるため、軽いものも含めると約8割の女性が、頭痛や肩こり、のぼせやイライラなどの症状を自覚すると言われています。

こうした更年期について、西洋医学と東洋医学ではどう考えているのか、鍼灸治療はどう行われるのかを知っていただきたいと思い、今回、記事にしました。ご一読いただければ幸いです。


目次

1.閉経と更年期障害

2.更年期障害の症状

3.更年期障害の原因

4.東洋医学から見た更年期障害

5.西洋医学での治療法

6.当院の治療法



1.閉経と更年期障害


「閉経」とは、卵巣の活動性が次第に消失し、ついに月経が永久に停止した状態をいいます。日本人の平均閉経年齢は約50歳ですが、早い人では40歳台前半、遅い人でも50歳台後半に閉経を迎えます。


閉経前の5年間と閉経後の5年間とを併せた10年間を「更年期」といいます。更年期に現れるさまざまな症状の中で他の病気に伴わないものを「更年期症状」といい、その中でも症状が重く、日常生活に支障をきたす状態を「更年期障害」と言います。



2.更年期障害の症状


更年期障害の代表的な症状は以下のようなものです。


○顔がほてるのに、足もとが冷えている。

○イライラしたり、憂鬱な気分になることが多い。

○息切れ・動悸がする。

○寝つきが悪く、夜中に起きてしまうことがある。

○頭や顔に汗を書くようになった。

○以前に比べ、体重が大きく変化した。

○便秘やお腹が張るなど、腹部の調子の悪い日が増えている

○疲労しやすく、下肢がむくむようになった。


 このほかにも、更年期障害では以下のような様々な症状が出てきます。


(1)心臓血管症状

    ほてり、のぼせ、ホットフラッシュ、発汗、浮腫、知覚異常、鬱血など。

(2)その他のさまざまな身体症状

    めまい、動悸、胸が締め付けられるような感じ、頭痛、肩こり、体重増加、

    腰や背中の痛み、関節の痛み、冷え、しびれ、疲れやすさなど。

(3)精神症状

    気分の落ち込み、意欲の低下、抑うつ、食思不振、イライラ、情緒不安定、

    不眠、ストレスに弱くなるなど。


更年期障害の特徴の一つは症状が多彩なことです。いくつかの症状が重なることもあれば、単独で症状が現れることもあります。



3.更年期障害の原因


更年期障害の主な原因は、卵巣機能の低下による女性ホルモン「エストロゲン」の減少です。

エストロゲンは、脳の視床下部からの指令により卵巣から分泌されます。視床下部はさまざまなホルモンの分泌をコントロールするとともに、体温調節や呼吸、消化機能の調節、精神活動などを司る自律神経のコントロールセンターです。

ところが、卵巣の機能が衰えると、脳がいくら「ホルモンを出せ」と指令を出しても分泌されません。すると、脳がパニックを起こして通常の何倍もの指令を出すために、異常な発汗、イライラ、めまいなどの症状があらわれるのです。


また、更年期障害では、卵巣機能の低下だけでなく、各内分泌臓器と自律神経系の失調がそれに伴って同時に起こります。加えて、加齢による身体機能の全般的衰えなどの身体的な要因、もって生まれてた性格などによる心理的要因、職場や家庭における人間関係などの社会的要因などが複雑にからみあって更年期障害は悪化すると考えられています。



4.東洋医学からみた更年期障害

東洋医学の古典に、『素問』という本があります。

その『素問』の中に、月経周期について、「女子は7歳で腎気が盛んになり、歯が代わり、髪が長くなる。14歳で月経がはじまり、任脈が通じ、太衝の脈が盛んになって、規則正しい月経になる。だから子どもが産める。49歳で任脈が虚し、太衝の脈が衰え、月経がなくなる」と書かれています。現代人が読んでもあまり違和感を感じません。

この中に、月経を起こすものとして「任脈」と「太衝の脈」というものが出てきます。それをつかさどるのが、東洋医学における「腎」です。東洋医学の「腎」は、西洋医学の腎臓とは異なり、「先天の元気」の宿るところで生殖機能と関係するものとされています。そのほかにも「腎」は、身体に指令を出す自律神経を正常に動かすためのホルモンの分泌、水分代謝をつかさどるとされています。


「腎」は、身体の機能全体を司る五臓(肝・心・脾・肺・腎)の中で、一番、加齢の影響を受けてしまいがちです。「腎」が衰えると、ホルモンが正しく分泌し、自律神経が正常に働かせることができなくなります。そのため、更年期障害の方のほとんどは、加齢による「腎」の衰えが関係していると考えられます。


また、東洋医学には、「瘀血」という考え方があります。「瘀血」は、古い血液が粘着性を増して部分的に体内に停滞して体に悪影響を与えるものです。お腹を押してみて、下腹部、特に右に圧痛や塊を感じればそれが瘀血です。下腹部の瘀血は、女性特有の骨盤内の血液循環障害と考えることができます。


東洋医学では、血液すなわち「血」を蔵しているのは「肝」です。「血」は気によって動くので、気がストレスや自律神経の乱れで停滞すると「血」の停滞を招くことになります。

この「血」の停滞によって「肝」が実してしまい、結果として「瘀血」が生じ更年期障害を悪化させると東洋医学では考えます。また、更年期の前半では、月経時の不正出血等による「血」の不足、「血虚」について考えておかなくてはなりません。


これらの身体の不調和を東洋医学的視点から診断し、崩れたバランスを正常に戻すのが鍼灸治療の中心になります。当院の場合、バランスの崩れを経絡の変動として診断し、正常に戻すために必要な穴(ツボ)に使い捨ての鍼(ディスポーザブル鍼)を用いて刺激することを中心に治療を行っています。



5.西洋医学での治療法


西洋医学では、更年期障害の治療は主に薬物によって行われます。更年期障害の薬物療法は大きく次の3つに分けられます。


(1)ホルモン補充療法

更年期障害の主な原因がエストロゲンのゆらぎと減少にあるため、少量のエストロゲンを補う治療法、「ホルモン補充療法」が行われます。

「ホルモン補充療法」は、ほてり・のぼせ・ホットフラッシュ・発汗など血管の拡張と放熱に関係する症状に特に有効ですが、その他の症状にも有効であることがわかっています。また、最近になって、更年期に「ホルモン補充療法」を開始した人は、心臓・血管の病気や骨粗鬆症など老年期に起こる疾患が予防できるという利点があることが分かってきました。



(2)漢方薬

漢方薬はさまざまな生薬の組み合わせで作られており、全体的な心と体のバランスの乱れを回復させる働きを持ちます。多彩な症状を訴える更年期女性に対しては、「婦人科三大処方」とも呼ばれる「当帰芍薬散」、「加味逍遥散」、「桂枝茯苓丸」を中心に、さまざまな処方が用いられます。漢方薬は効果が出るまでに時間がかかると思われていますが、的確な処方が行われれば比較的短期間で効果が出やすく、副作用も少ないという利点があります。


(3)心に作用する薬

気分の落ち込み・意欲の低下・イライラ・情緒不安定・不眠などの、精神症状が最もつらい症状である場合には、抗うつ薬・抗不安薬・催眠鎮静薬などの向精神薬も用いられます。これらの薬は、一時的に症状を著しく緩和しますが、長期間の服用には問題があるため医師とよく相談して服用する必要があります。



6.当院での治療法


更年期障害は、加齢によるホルモン分泌、内臓の衰え、生活環境の変化など、様々な要因がからまる事によって引き起こされます。そのため、まずは身体の中で何が起こっているのかを見きわめながら治療法を考えていくことが大切です。


当院では、初診時に時間をかけてご来院者様の症状を詳しくお聞きするのと同時に、身体の状態を「脈診」や「舌診」などの東洋医学独自の診断法を用いて全身の状態を診て治療の方針を決めています。


また、たんに症状をお聞きするだけでなく、更年期障害に関係すると思われるお客様の成育歴や性格、現在の職場や家庭における人間関係などのお悩みを詳しくお聞きすることで、問題の解決に向けたカウンセリングによる支援や、必要ならばストレスと軽減するための「自律訓練法」や「マインドフルネス」の指導を行っています。


施術の中心は、体をリラックスさせる全身のマッサージをメインに、経絡の変動の調整や、肩こりや手足の冷えなどに対する局所の治療を組み合わせて行っています。これらを組み合わせて施術を行うことで、1回の治療で、「楽になった」という体験を味わっていただくことができると思います。


ただし、先ほど述べたように、更年期は閉経の前後10年間続きます。好不調の波はありますが、できるだけ継続的に治療を受け続けていただくことが、ご来院者様の生活の質を上げていくうえで大切だと考えています。


身体的につらい更年期ですが、同時にこの時期は、子どもの進学や親の介護といったライフイベントが生じたり、家庭や仕事でも多忙を極めることの多い時期です。そういった時期でも、アクティブに生活を楽しみ充実したものとするために、身体のメインテナンスには十分気を付けていただきたいと思います。


 

「更年期障害」が気になる方はぜひ一度ご来院ください。


高崎さと鍼灸院は、鍼灸とカウンセリングを併用することで、体と心に寄り添う施術を行なっています。ただ施術するだけではなく、東洋医学の豊富な知見を活かし、即効性よりも、患者様の「自然治癒力」の回復にこだわった治療をご提案します。色んな治療をしたが改善しなかった方、あまり薬に頼りたくないとお考えの方は、高崎さと鍼灸院までお気軽にご相談ください。

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