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ジストニアについて




目次

  1. ジストニアはこんな病気です

  2. わたしの「書痙(しょけい)」体験

  3. 全身性と局所性のジストニア

  4. 眼瞼痙攣・痙性斜頚・書痙について

  5. 演奏家の局所性ジストニア

  6. 局所性ジストニアの治療

  7. 当院の治療



1. ジストニアはこんな病気です

ジストニアという病気があります。聞きなれない病名だと思いますが、この病気も心身症の一種なので、このブログで取り上げていきたいと思います。

ジストニアは、「自分でコントロールできない状態で、筋肉が持続的に収縮をきたし(これを「不随意運動」といいます)、うねるような運動や姿勢異常が現れる神経症候群」と定義される病気です。

ちょっとわかりずらい表現なので、もう少しわかりやすくかみ砕いて表現してみます。簡単に言うとジストニアとは、「体の一部がしゃっくりが出たときのようにぴくぴくと動き、自分でそれが止められない病気」ということになります。

そんな病気があるのかと、思われる方もいると思います。

でも、瞼がぴくぴくして止まらなくなった経験はないですか?その状態を「眼瞼痙攣(がんけんけいれん)」といいます。眼瞼痙攣も、「体の一部がしゃっくりが出たときのようにぴくぴくと動き、自分でそれが止められない病気」なので、立派なジストニアです。



2.わたしの「書痙(しょけい)」体験

後で述べますが、ジストニアの一種に「書痙」というものがあります。字を書こうとすると勝手に手先が震えてしまい、字が書けなくなるという病気です。

実は、わたしも書痙を経験したことがあります。

大学生の時、国語の教員免許を取るために書道を履修しました。高校の国語免許には書道がいらないのですが、中学校の免許には必要だったからです。 

理論を勉強していたときは何事もなく、もちろんノートも取れていたのですが、実習で筆を持ち始めてからおかしくなりました。急に筆を持つ手に力が入って震えてくるのです。もちろん、まともな字なんか書けません。なんとも惨めな気持ちでその時間を過ごし、その日は家に帰りました。

その後も、しばらくは筆を持った時だけ手が震えました。状況が改善したのは、「もう中学校の免許はいらない。単位もあきらめよう」と気持ちを切り替えてからです。そこから紆余曲折はありましたが、最終的に書痙症状は改善し中学校の国語免許もとることができました。

今考えると、そのころ学生生活でさまざまなストレスがかかっていたこと、慣れない毛筆で余計なところに力が入っていたこと、きちんと仕上げなくてというプレッシャーがかかったことなど、書痙を発症するいくつかの要因が思いつきます。

自分のことながら、ジストニアは心身にかかわる誰もがかかる病気だと感じます。


3.全身性と局所性のジストニア

ジストニアを発症するメカニズムは、まだ解明されていません。しかし、大脳や小脳などの中枢神経が集まる場所において、何らかの障害が起こるためだと言われています。

ジストニアはその起こる場所によって全身性のものと局所性のものの大きく2つに分けられます。鍼灸やカウンセリングによって改善できるのは、主に局所性のジストニアです。

全身性のジストニアは、幼少期から発症するものが多く、大脳基底核という脳の奥の方にある筋肉の緊張を調整する部分が障害されることなどによって起こります.

一番多いのは、出産前後の障害である「脳性麻痺」です。また、先天代謝異常であるウイルソン病やさまざまな神経変性疾患に合併したり、脳血管障害や脳炎などの後遺症としてみられることもあります。

一方、局所性のジストニア(局所性ジストニア・フォーカルジストニア)にはいろいろな種類があり、起こる部位別に「眼瞼痙攣(がんけんけいれん)」、「痙性斜頚(けいせいしゃけい)」、「書痙(しょけい)」などがよく知られています。

また、「職業性ジストニア」といって、同じ動作を繰り返す楽器奏者やスポーツ選手などが発症するジストニアもあります。こういった職業意識の強い人は、調子がおかしい時により反復練習に取り組むことが多く、さらにジストニアを悪化させがちです。

ジストニア運動は通常持続性がありますが、症状が現れるタイミングや強さは、そのときの感情や疲労、リラクゼーションの具合などの要素に影響を受けます。一日で症状の程度の変動が大きく、ある時間帯にはほとんど症状がみられない一方で、ある時間帯にかけて症状が悪化することもあります。


4.眼瞼痙攣・痙性斜頚・書痙について

代表的なジストニアについて説明します。

まず眼瞼痙攣(がんけんけいれん)です。これはまぶたが勝手に収縮し、まばたきが多くなる病気です。進行すると目を開けていられなくなることもあります。

この病気の場合、ふだんは開いているのに、何かしようとしたとき、例えば「人と会って大事な話をしなくてはならない」ときや、「車の運転などをしよう」としたときなどに悪くなることが多く、こういったところは「過敏性腸症候群(IBS)」によく似ています。

ほかの人からその苦労が分からないので、「自分の不都合なときだけ悪くなる」ように周囲に思われ、自分勝手な人などと誤解されることもあります.

次に痙性斜頚(けいせいしゃけい)です。痙性斜頚は、首から肩のあたりの筋肉の異常な収縮によって、頭が上下左右に傾いたり回ったりします.また肩があがることもあり、しばしば痛みを伴います。肩こりの一部にこれがあるともいわれています。

筋肉の収縮が持続的で、首や頭がかたむいたままの「ジストニア型」と、不規則に収縮するため首や頭が揺れる「チック型」があります。

いずれも、立ったり緊張すると悪化し、横になったりねむると軽くなったりまったく消えてしまうこともあります。まじめで自責感が強く、他人への配慮を重んじて自分の感情を抑圧してしまう人がなりやすいといわれています。また、強迫観念が強い人もなりやすいといわれています。

最後に書痙(しょけい)です。先ほども触れましたが、字を書こうとするときに、手が震え、ミミズのような字になってしまったり、利き手をもう一方の手で支えなければ字が書けなくなってしまったりする病気です。緊張しやすい人に発症しやすいと言われています。

一人でいるときには比較的発症しにくいことから、人と接している緊張が過度に高まって出てくる対人恐怖(社会不安障害)の一種とみなされることもあります。


5.演奏家の局所性ジストニア

演奏家の局所性ジストニアは、高度の複雑さと正確さを必要とする反復動作を、長年にわたって行ってきた部位に発症すると考えられています。

ピアノやバイオリン奏者などであればおもに手に、フルートやクラリネットなど管楽器奏者であればおもに手や唇に、歌手であれば声帯に発症しやすいといわれています。

クラシックの演奏家は、早い人では2~3歳くらいの時から、1日に何時間も同じフレーズを反復します。そうして、読み取った譜面をいわば「自動的」に手や唇や声帯に伝えて音に変えていくわけです。目から入った情報を脳で処理し、末端の筋肉を動かし音に変える過程のどこかに、すこしでも狂いが生じると、それまでできていた演奏ができなくなってしまいます。

局所性ジストニアが原因にもかかわらず、それまでのような演奏ができなくなったことを、練習不足やスランプと勘違いして練習を続けると、症状が悪化するリスクが高く、場合によっては演奏家生命にかかわるので、早めに治療を行わなくてはなりません。


6.局所性ジストニアの治療

これまで読んでいただいて、ジストニアの可能性が考えられる場合は、まず医院を受診されることをおすすめします。同じような症状でも、違う病気の可能性があるからです。

局所性ジストニアと診断されると、多くは、抗コリン剤(副交感神経を抑制する薬)剤や、抗うつ剤、抗不安薬などが投与されます。局所性ジストニアは、「こころの病」と考えるお医者様が多いからです。これらの薬で改善されることもありますが、効果は個人差が大きいです。

薬物療法以外では、特定の筋の収縮を抑えるためにボツリヌス毒素の注射が行われます。一度に使用できる薬剤量には限界があるため、狭い範囲の局所性ジストニアには有効です。多くは一定の効果が期待できます。

また、大学病院などでは、脳に直接アプローチする方法も行われます。「視床凝固法」といい約70度の熱で脳の深部(視床)を温め凝固させる方法や、「視床刺激療法」といい脳に小さな機械を埋め込み弱い電流で刺激する方法などです。いずれも通常の薬物療法に比べれば有効性は高いですが、効果は個人差が大きく、また、まれに脳出血を起こすなどのリスクの高い治療法となります。



7.当院の治療

ジストニアは、体の病気であるとともに心の病気でもあり、典型的な「心身症」であると当院では考えています。そこで、体と心の両面からのアプローチでジストニアの症状改善を図ります。

当院では、まず身体に対するアプローチとして、むりな使い方をして問題を起こしている筋肉に鍼灸やマッサージを行い緊張をほぐします。しかし、それだけでは症状がなかなか改善しないことが多いので、東洋医学的に発症した時の原因をしっかりと考えて、体質的な問題を解決するような施術を同時に行ないます。

当院は、脈診による経絡治療を中心に治療を行っていますが、合わせて中医学的な診断も取り入れています。それらを組み合わせて、一人一人に最適な治療方針を立てて施術を行います。

また、心に対するアプローチとして、体に対する治療と並行してカウンセリングや、自律訓練法やマインドフルネスの指導を行います。

ジストニアになりやすい人の特徴をまとめると以下のようになります。

1.まじめで責任感が強い。

2.失敗するとすべて自分のせいだと感じてしまう(自責感)。

3.他人への配慮を重んじて自分の感情を抑圧してしまう。

4.ストレスに弱い。

5.完璧主義で、強迫観念(同じことを何度も確認してします)が強い。

6.他人と接している緊張が過度に高まって出てくる(対人恐怖心性)。

7.思い込みにとらわれやすい。

カウンセリングは、こういった病気になる以前の性格(病前性格)を修正し、こころの柔軟性を高めることを目的に行います。また、自律訓練法やマインドフルネスを行うことでストレスに強いこころをつくります。

もちろん、「まじめで責任感が強い」ことや、「完璧主義である」ことそのものが悪いわけではありません。それそのものを修正する必要もありません。あなたはそうやって生きてきたからこそ、今の自分があるわけです。それは、十分に肯定してあげてください。

しかし、それが過度になれば「害をなす」ことも知らなくてはなりません。大切なのは、こころの柔軟性です。今回ジストニアになったのは、自分の今までのことを考え直すいいチャンスだと考えらるようになれば、おのずと症状も改善していきます。

大学病院で行う手術などのハイリスクな治療を選択する前に、当院での施術やカウンセリングをお試しいただければと思います。


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