「鍼灸でつかう針ってどんなのですか?」って、よく聞かれます。
鍼灸の治療を受けたことがない人が一番の不安に思うのは、「鍼は痛くないか?」だと思いますが、注射針のような針を刺されたらと思うと、やっぱりこわいですよね。
そこで、いちおう説明はするのですが、針といえばぬい針や、注射針しかみたことがない人に、口でどんなに説明してもわかってもらうのは難しいようです。
そこで写真です。右から、中国鍼灸でつかわれる中国針、一番よくつかわれる日本鍼灸の針、美容鍼灸でつかわれる細くて短い鍼、そして縫い針です。
こうしてみると、長さや太さの感じが少しは伝わると思います。
中国鍼は、太くて硬いのが特徴です。刺激も強めになります。
それに比べて、日本針は細くてしなやかなのが特徴です。そして、刺激も弱めです。
軽く指先に当ててみました。
長さは4㎝、太さは0.18mm、材質はステンレスです。
柄の部分はプラスティックでできています。そのしなやかさが分かってもらえるでしょうか?
この針を、専用の筒に入れて、トントンと軽く叩いて浅く皮膚に入れてから、必要な深さまで針先を進めていきます。
浅くて3~4mm、深くても2~3㎝くらいです。
ほとんど痛みを感じることもないですし、治療後は、運動やお風呂も問題ありません。
また、針はステンレス製なのでアレルギーの心配も少なく、完全滅菌されたものを1回1回使い捨てにするので感染症も心配もありません。
これで少しは、安心してもらえたでしょうか?
ところで、針を刺すのは技術なので、練習は必要です。
鍼灸学校では、針をうまくさせるようにずいぶん練習しました。
最初は、なかなか思うように扱えない針でしたが、あの細い針で、制限時間内に5mmの杉板に貫通させられないと試験に不合格になるので、必死で練習しました。
これは、「堅物通し」といって江戸時代から伝わる鍼灸の練習法ですが、鍼灸は、平成・令和の時代になってもいぜんとして使っている針も穴も江戸時代から変わってないわけで、やっぱり必要な練習法だと思います。
鍼灸には、ほかにも「「浮き物通し」といって、水に浮かべた野菜に針を刺したり、「生き物通し」といって、犬や猫に気づかれないように針を刺す練習法もあり、昔からその訓練は厳しかったようです。
これについは、またべつの機会に書いていきたいと思います。
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