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不眠症の鍼灸治療とセルフケア


不眠症


目次

 1.はじめに

 2.不眠症について

 3.不眠症の原因と鍼灸治療

 4.不眠症に効くツボ

 5.不眠症のセルフケア

 6.おわりに



1.はじめに

新しい年度が始まりました。これを機会に親元を離れて進学したり、就職する人もいるかと思います。そうした人には、もちろん喜びや期待などもある一方で、新しい環境でうまくやっていけるのだろうかという不安を抱えている人もたくさんいるのではないでしょうか。そんな環境の大きな変化が起こったときや、人間関係のトラブルなどが起こると、人は「不眠」になります。


誰しも、心配事があったり、試験の前日など緊張しているときは上手く眠れないものです。しかし、一過性の心配事などは、それが解決すれば安心してまた眠ることができます。これと、いわゆる「不眠症」とはどう違うのでしょうか?



2.不眠症について

「不眠症とは何か」、ということについては、厚生労働省のホームページに簡潔にまとめられています(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-001.html)。


そこには、「不眠症とは、入眠障害(寝つきが悪い)・中途覚醒(眠りが浅く途中で何度も目が覚める)・早朝覚醒(早朝に目覚めて二度寝ができない)などの睡眠問題があり、そのために日中に倦怠感・意欲低下・集中力低下・食欲低下などの不調が出現する病気です。」と書かれています。

簡単に言うと、1「夜間の不眠が続き」、2「日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下する」のが「不眠症」なのだということです。逆に言えば、眠りが浅く感じられても、昼間の生活に支障がなければ不眠症とは診断されません。睡眠時間が短いことや目覚めの回数にこだわりすぎないことが大事です。


また、「不眠症は慢性不眠症(慢性不眠障害)と短期不眠症(短期不眠障害)の二つに分けられます。不眠と日中の不調が週に3日以上あり、それが3カ月以上続く場合は慢性不眠症、3カ月未満の場合は短期不眠症と診断されます。」ともあります。



3.不眠症の原因と鍼灸治療

高崎 不眠症

不眠症の原因には様々なものがあり、それぞれ対処法が異なりなす。一過性の心理的によるストレスによるものもあれば、うつ病や高血圧などの心や体の異常から起こる不眠症もあります。カフェインの摂りすぎによる不眠症もあるでしょう。また、「睡眠時無呼吸症候群」や「レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)」など、睡眠に伴って呼吸異常や四肢の異常運動が出現するために睡眠が妨げられ、不眠症状が出現する場合もそれほど珍しくはありません。


しかし、いちばん多いのは、ストレスにより自律神経のバランスが崩れてなる不眠症ではないでしょうか。犬や猫を見ているとよくわかりますが、動物は一日のかなりの時間を寝たりじっとして過ごします。それは、いつ食べ物を手に入れられるかわからない野生の生き物にとって、動かないことで無駄なエネルギーを消費しないことが生存の最適解だからです。それに対して人間は、なるべく寝る時間を少なくして、仕事や家事、勉強などに集中して取り組みたがる、いわばストレスを溜めたがる生き物です。


そのため人は、緊張を持続する時間(交感神経優位)が長く、寝たりリラックスして休息すべき時間(副交感神経優位)の時間が短くなりがちです。こうなると、夜になっても交感神経が亢進し続け、副交感神経が賦活できずに睡眠に問題が起こり不眠症状を引き起こし、昼間の倦怠感や疲労感が生じてしまいます。


では、この時の体と心の状態を観察してみましょう。脳(心)が興奮状態にあると、意識の柔軟性が失われて、「寝られない」ということに意識が捉われてしまいます。「寝られない」ということがストレスになって、さらに寝られなくなるという状態が生まれているといえるでしょう。その時、心は常に緊張し続けています。

では体はどうでしょうか?ストレスがかかると、実は体の筋肉も緊張してしまいます。心配事があると、肩が凝ってくるというのは誰しも経験することですが、実は、脳(心)が興奮状態にあると、それ以外のいろいろなところにも筋肉の緊張(コリ)が発生しています。


言い換えると、自律神経の崩れから起こる不眠症とは、体と心に強いストレスがかかることで強い緊張が生まれ、心の緊張がさらに体の緊張を強め、身体の緊張が心の緊張を増幅するという、体と心の負の連鎖が生じた状態といえるでしょう。したがって、この「身体と心の緊張の連鎖を断つ」ことが治療の眼目となります。


体の中でも、特に首や頭部の筋肉は凝りやすく、そのコリは精神的なリラックスを強く妨げます。そのため、肩こりを鍼灸やマッサージと取り除くだけで、睡眠の質を上げることができ、それだけで、長年の不眠症が改善したという方もいらっしゃいます。また、心と体の強い緊張は、背中や腰、顎にもコリを生じさせます。そうしたコリは、腰痛や背中の痛み、顎関節症としてあらわれているので、こうしたコリから生じた症状を改善することも不眠症の改善につながります。


また、鍼灸では、精神安定のためによく使わるツボがあります。これらは、長い間の経験から有効とされてきたツボです。これらを組み合わせて、 後頸部のコリを治しながら、安寧のツボを活用することが不眠治療の中心となります。次にそれらのツボのいくつかを紹介します。これらのツボは鍼灸治療で用いられるものですが、セルフケアで用いることもできます。その時の用い方を簡単ですが書いておきます。



4.不眠症に効くツボ

 

 ア.肩こりに効くツボ


 大椎(だいつい)…首を前に向けると出っ張る、首の後ろの骨の下のくぼみ

 肩井(けんせい)…首の付け根と肩先の中間

 缺盆(けつぼん)…乳頭を上にたどった鎖骨の上のくぼみ

 天髎(てんりょう)…肩井から指2本分首側にいったくぼみ


肩周辺にあるツボです。あまり力を入れすぎず、10~20回程度もみほぐしてください。温灸も効果的です。


 イ.後頸部のコリに効くツボ


 完骨(かんこつ)…耳の後ろにある出っ張った骨の下端の少し後ろのくぼみ

 風池(ふうち)…両耳の下を結んだ線上で、耳から後ろに指2本分

 天柱(てんちゅう)…「ぼんのくぼ」と呼ばれるくぼみの左右指1本のくぼみ

 風府(ふうふ)…いわゆる「ぼんのくぼ」


後頸部周辺にあるツボです。あまり力を入れすぎず、10~20回程度もみほぐしてください。


 ウ.神経過敏を治めるツボ


 百会(ひゃくえ)…両耳の上端を結んだ線上の中央

 膻中(だんちゅう)…両乳頭間の中央のくぼみ

 巨闕(こけつ)…みぞおちのすぐ下

 四神総(ししんそう)…百会から左右前後親指1本分の4か所


経験的に、不安や神経過敏に有効とされるツボです。あまり力を入れすぎず、10~20回程度もみほぐしてください。


 エ.不眠の特効穴


 失眠(しつみん)…足の裏側、かかとの中央のすこしへこんだところ

 

この失眠穴は、高ぶった神経を落ち着かせて眠りを誘うとして有名なツボです。目がさえてなかなか寝付けない時は、このツボを20回程度ゆっくりたたいて下さい。


 オ.交感神経を鎮めるツボ


 関元(かんげん)…臍の下3寸、指4本分下に取ります。


関元穴は、道教でいう下丹田にあたるツボになります。丹田は、気を集めて煉ることにより霊薬の内丹をつくることができるとされる体内の特別な場所です。 寝る前に、胡坐をかき、両手のひらを重ね(女性は右手を下に、男性は左手を下にする)「丹田」の上に置き、気持ちを負つかせます。その後、目を閉じて「丹田」に意識を集中して、10回ほどゆっくり呼吸をします。

 


5.不眠症のセルフケア

不眠に悩まされている方は、まずは一度病院等でご相談ください。特に内科的な問題等がなければ、自律神経の乱れによる不眠症の可能性が高くなります。そうであれば、次のような工夫をしてみるとよいと思います。


ア.就寝・起床時間を一定にする

睡眠覚醒は体内時計で調整されています。週末の夜ふかしや休日の寝坊、昼寝のしすぎは体内時計を乱します。


イ.睡眠時間にこだわらない

どうしても寝られない時は、思い切って寝床から出ましょう。「眠らなければ」という思いが、不安や緊張が増しますます目が冴えてしまいます。「寝られない」ということそのものをストレスにしないことです。


ウ.早朝に太陽の光を浴びる

太陽光など強い光には体内時計を調整する働きがあります。早朝に光を浴びる習慣をつけましょう。あわせて、朝食をきちんと摂る習慣もつけるとよいでしょう。


エ.適度な運動をする

ほどよい肉体的疲労は心地よい眠りを生み出してくれます。負担にならない程度の有酸素運動が効果的です。


オ.日ごろから自分流のストレス解消法を持つ

ストレスは眠りにとって大敵です。音楽・読書・スポーツ・旅行など、自分に合った趣味をみつけてストレスをためないようにしましょう。


カ.寝る前にリラックスタイムを

睡眠前に、副交感神経を活発にさせることが良い睡眠のコツです。ぬるめのお風呂にゆっくり入ったり、アロマや好きな音楽を楽しむのもよいでしょう。ヨガや瞑想の時間を持つのもおすすめです。



6.おわりに

最後までお読みいただきありがとうございました。不眠症は、ストレス社会ともいえる現代では、ある意味、避けがたい病気かもしれません。しかし、寝ることと食べることは生きることの基本であり、人も他の動物とその点で何ら変わりありません。とりわけ睡眠は大切であり、適切な睡眠がとれないと食欲にも影響を及ぼし、人が本来持っている「自然治癒力」が発揮できなくなります。


例えば、骨折をした場合を考えてください。骨折は医者が治すものだと思っているかもしれないですが、骨が折れても、治療は折れた骨をもとの位置にもどし固定することだけです。時には手術が必要だったり、薬の手助けが必要なこともありますが、それとて、手術をするのはそうしなくてはもとの位置に戻らなかった場合だけであり、薬も感染症を予防したり痛みをとるにすぎません。骨折が治るのは、人の持つ自然治癒力のおかげです。


この、人の持つ自然治癒力をうまく働かせるには、質の良い睡眠が不可欠です。不眠でお悩みの方は当院で一度ご相談いただければと思います。あなたの原因に合った最適な治療法で体と心を緩め、ぐっすりと寝られるように治療してまいります。




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