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自律神経を整えてリラックス-「自律訓練法」について



目次

 (1) はじめに

 (2) 自律訓練法とは

 (3) 自律訓練法の効果

 (4) 自律訓練法の実際

 (5) 終わりに-変性意識状態について



(1) はじめに

 

「最近疲れが取れなくて辛い」、「仕事や勉強に集中できない」、「やる気が出ない」、「よく寝むれない」などの悩みを抱えている人は多いと思います。


こんな症状の多くは、じつは「自律神経の乱れ」が関係しています。


みなさんよくご存じのように、「自律神経」は交感神経と副交感神経から成り立っています。おもに交感神経は活動を、副交感神経は休息を主りますが、これらのバランスが取れてはじめて、昼間は元気に活動し夜はぐっすり寝られて、一日元気でいられるのです。


しかし、いったんそのバランスが崩れてしまうと、昼間はボーっとし夜は寝られず、元気がなくなり、めまいやたちくらみ、冷汗や動悸、頭痛や吐き気などの症状が出てきます。そして、これらの症状がひどくなったものを「自律神経失調症」と呼びます。


その改善を期待出来るのが、「自律訓練法」です。



(2)自律訓練法とは


自律訓練法は、心と体をリラックスさせて、ストレス緩和や心身症、神経症などの改善、リラクゼーション効果が期待出来る「自己催眠法」です。


自律「訓練法」という名前から、何かトレーニングの一種のように思われる人もいると思いますが、自律訓練法は「催眠法」の一種で、どちらかといえば「瞑想法」に近いと考えた方が適切です。ただし、そのやり方は心の内面に注目するのではなく、身体の感覚に注目するところが通常の催眠や瞑想と異なります。


自律訓練法は、1932年にドイツの神経科医のシュルツによって体系化されました。その理論は、ドイツの大脳生理学者フォクトの臨床的催眠療法に基づいています。


シュルツは、1920年代の科学的な催眠に誘導された人が、腕や脚の温かさをしばしば報告するという事実から、その感覚を自己暗示により生じさせ、催眠状態をつくることを考え出しました。そして、暗示がなくても、催眠状態そのものに治療的的効果があることを明らかにしました。これらの事実から、誰にでも催眠状態をつくって、リラクゼーション効果の得られる方法を公式化したものが自律訓練法です。



(3)自律訓練法の効果


自律訓練法で催眠状態に入ると、リラックスした状態、つまり、余分な緊張のない適度に心身が弛緩した、ゆったりとくつろいだ状態が自力で得られるようになります。このような状態では、具体的には以下のような効果が得られると言われています。


  1. 緊張・不安の軽減

  2. 疲労の回復

  3. 集中力を高める

  4. 自分がコントロールでき、衝動的な行動が少なくなる

  5. 身体の痛みや、精神的苦痛が緩和される


もちろん個人差はありますが、自律訓練法を行うことで、身体と心の活動が安定するようになります。


そればかりではなく、自律神経の乱れからくる、めまいや冷汗、動悸、血圧の急な変動、吐き気や頭痛、不眠症、生理不順などの身体症状から、不安や鬱状態などの精神的な症状などにも効果が認められています。また、気管支喘息や過敏性腸症候群、起立性調節障害などの心身症にも大変有効です。



(4)自律訓練法の実際

それでは、自律神経神経訓練法のやり方について説明していきます。


自律訓練法は、気持ちを落ち着けるという1つの「背景公式」と、「腕が重い」などの6つの「公式」、そして1つの「消去動作」から成り立っています。

これらを1セットとして、すべてを終了するのに15分ほどしかかかりませんが、最初から全部を行う必要はありません。第1公式からはじめて、効果を実感してから次の公式に順を追って進んでください。1公式の実感を得るのに、標準的には1週間ほどかかるといわれています。


自律訓練法は、理想的には朝昼晩の1日3回、1回につき3セット行うのがおすすめです。しかし、1日1~2回、1回1セットでも毎日行えば効果があらわれます。ぜひお試しください。なお、うつ病や神経症、精神精神疾患をお持ちの方は、医師に相談した上で行ってください。


【準備】

  • 背もたれのある椅子を用意し、姿勢よく座ります。

  • 両脚を軽く開いて座り、腕の力を抜き、両手を太腿の上に置きます。

  • 目を閉じ、体の感覚を味わいながら、手足や腰の位置などを楽な場所に調整します。

  • ベルト、時計、眼鏡など体を締めつけるものははずしておきます。

  • 暗く、静かな場所で行うとよいでしょう。


【背景公式】-「気持ちが落ち着いている」

  • 「気持ちが落ち着いている」と心の中でゆっくり繰り返します。

  • この言葉は各公式の合間にもつぶやくとよいです。

  • 「その風の吹いている草原で寝転んでいる」などの、気持ちが落ち着くイメージを使ってもかまいません。


【第1公式】-「重たい」

  • 両腕・両脚に重さを感じます。

  • まず利き腕に意識を向けます。利き腕が右なら、「右腕がとても重たい」と心の中でゆっくり繰り返します。逆の腕も同様に行います。

  • 右脚全体に意識を向けます。「右脚がとても重たい」と心の中でゆっくり繰り返します。逆の脚も同様に行います。

  • 両腕、両脚が重いことを感じます。


【第2公式】-「温かい」

  • 両腕・両脚に温かさを感じます。

  • まず利き腕に意識を向けます。利き腕が右なら、「右腕がとても温かい」と心の中でゆっくり繰り返します。逆の腕も同様に行ないます。

  • 右脚全体に意識を向けます。「右脚がとても温かい」と心の中でゆっくり繰り返します。逆の脚も同様に行ないます。

  • 両腕、両脚が温かいことを感じます。


【第3公式】-「心臓が静かに打っている」

  • 心臓に意識を向け、「心臓が静かに規則正しく打っている」と心の中でゆっくり繰り返します。

  • このとき、右手を左胸に載せて心臓を意識してもかまいません。


【第4公式】-「楽に呼吸している」

  • 呼吸に意識を向け、「楽に呼吸している」と心の中でゆっくり繰り返し、腹式呼吸を行ないます。

  • あまり意識を呼吸に向けすぎると、不自然な呼吸になります。そのときは、ぼんやりと呼吸を意識してください。


【第5公式】-「お腹が温かい」

  • お腹、とくに胃の辺りに意識を向け、「お腹が温かい」と心の中でゆっくり繰り返します。

  • 手をお腹の上(みぞおちとへその間)に置くと、温感が得やすくなります。


【第6公式】-「額が心地よく涼しい」

  • 額に意識を向け、「額が心地よく涼しい」と心の中でゆっくり繰り返します。

  • 「草原で横になって、涼しい風に吹かれている」といったイメージを活用してもよいです。


【消去動作】

  • ゆっくり目を開けます。

  • 手を前に出し、力を入れてグーの形を作り、グーパー、グーパーを5~6回繰り返します。

  • 腕を5~6回屈伸します。

  • 背伸びを1~2回、深呼吸を1回おこないます。

  • 消去動作を1回行っても倦怠感が残るときは、消えるまで消去動作を行います。


以上で自律訓練法のやり方の説明は終わりです。公式の途中でやめるときも、消去動作だけは必ず行うようにしてください。



(5)終わりに-変性意識状態について


最初に書いたように、自律訓練法は自己催眠法の一種です。


人は催眠状態になると、通常とは異なった意識状態、すなわち「変性意識状態」になります。変性意識状態は別名「トランス状態」ともいい、主に観察されるのは、「没入」といわれる現象と「乖離」といわれる現象です。


「没入」とは、何かに集中してほかのことや周りの存在を忘れ、内的世界に没頭している現象のことを指し、「乖離」とは、現実の感覚世界や意識世界から離れ、感じるべきことを感じなくなったり、記憶など意識されるべきことが意識されなくなったりする現象のことを指します。


こう書くと、トランス状態とは何か異常な感覚のような気がしますが、実はこの現象は日常でもよく体験される現象です。たとえば、好きなテレビを見たりマンガを読んでいるとき、周りのことを忘れ、呼ばれていることに気が付かないことがあります。それが没入です。また、仕事や勉強に集中して、時間がたつのを忘れてしまうのも同様に没入です。


乖離ですが、これも日常でよく経験する感覚です。たとえば、わたしたちは「足の裏の感覚に注目してください」とでも言われないかぎり、足の裏の感覚に気づくことはありません。これは乖離です。また、都合の悪いことを忘れたりするのも乖離の一例といえる。さらに、スポーツの世界で、試合に集中すると周りの音が聞こえなくなったり、全身の神経や筋肉が研ぎ澄まされるように感じる瞬間を味わうことがあるといいます。この「ゾーンに入る」という現象も乖離ということができるでしょう。


まれにですが、自律訓練法の練習をしているときにも、「時間の感覚を喪失する」、「空間感覚の異常を感じる」、「現実感を失い、悟りを開いたような感覚を味わう」、「身体の輪郭があいまいになる」といったトランス状態になることがあります。


そういった場合でも、きちんと消去動作を行えば問題はありません。逆に、そういった体験を面白がってそれにのめりこむのは危険です。トランス状態を経験した時は、消去動作を行い、公式どおり身体感覚に注意を戻し、公式どおりに練習を重ねてください。





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