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梅核気と性格(その一)-東洋医学からみた梅核気-


東洋医学

目次

 1.はじめに

 2.梅核気とストレス

 3.東洋医学からみる梅核気の原因

 4.梅核気の鍼灸治療



1.はじめに


梅雨の時期は青梅の季節でもあります。スーパーの店頭にはたくさんの青梅が並んでいます。この梅にちなんだ症状名が東洋医学にはあります。それが「梅核気(ばいかくき)」です。


梅核気の梅核とは、梅の実の中心にある種(たね)のことです。梅核気は、喉(のど)から胸にかけての違和感や異物感、あるいは圧迫感などが生じる病気です。「喉頭異常感(いんとういじょうかん)」や「ヒステリー球」とも呼ばれることもありますが、「エヘン虫」の方が通りがいいかもしれません。


この病気の厄介なところは、「のどに球が詰まっている感じがして苦しい」ことから、内科や耳鼻咽喉科、あるいは神経科などを受診しても、レントゲンや採血で何の異常も認められないところです。そのせいで、医者から「気のせいではないですか」と言われてしまうことが多く、本人の納得がいかないことばかりでなく、かえって「普通の医者にはわからい何か大きな病気が隠れているのではないか」と不安になるところにあります。



2.梅核気とストレス

 

梅核気の主な原因はストレスです。梅核気を感じる方は同時に、更年期障害や自律神経失調症であったり、うつ状態であったりします。そのことからも、梅核気の原因がストレスであることがわかりますが、そんなことを知らなくても、緊張したり、怒りや悲しみなど強いストレスを感じた時、胸苦しさで喉がつかえたり、呼吸が浅くなったりした経験は誰にもあると思います。それを考えれば、梅核気の原因がストレスであるのは納得できることだと思います。


ストレスと聞くといかにも現代病といった感じがしますが、驚くことに、約1800年前の中国の後漢から三国時代に生きた張仲景(ちょうちゅうけい)の『傷寒雑病論(しょうかんざつびょうろん)』にも梅核気の名前が出てきます。

『傷寒雑病論』の中で、梅核気は「多くは思いが過ぎることによっておこる。思いが過ぎれば、脾(ひ)を痛め、脾気がうっ結して痰(たん)を生じ、経絡を阻害する。経絡が阻害されると、のどに焼いた熱い肉が詰まったようになり、それを梅核気と呼ぶのだ」と書かれています。


また、同じ著者の『金匱要略(きんきようりゃく)』には、「婦人で、のどに焼いた熱い肉が詰まったようになった場合、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)が効く」と書かれています。今でも、梅核気には半夏厚朴湯が第一選択肢ですが、こんな昔からその対処薬まで載っていることに驚きます。それほど梅核気はポピュラーな病気だということです。



 3.東洋医学からみる梅核気の原因


東洋医学から梅核気を見ると、「気の滞り(きのとどこおり」というのがキーワードになります。

東洋医学には、「気(き)・血(けつ)・水(すい)」という、身体のしくみや病気の成り立ちに欠かせない概念があります。このうち気は、人体を構成し人の生命活動を維持するうえで最も基本となるものです。その気の巡りが、心理的なストレスが原因で滞ってスムーズに流れない状態を気滞(きたい)といいます。

気滞になると、感情のうっ積によるイライラ、情緒不安、怒りっぽいといった心理面や、むくみ、下痢、生理痛、冷えなどの身体面などに様々な影響が出ます。梅核気も気滞の症状の一つです。したがって、気の巡りを整えることで、梅核気をはじめとするこれらの症状は改善を改善することができます。


もう一つ知っておいてほしいのが、「肝気鬱結(かんきうっけつ)」という言葉です。

東洋医学では、生体機能を「肝(かん)・脾(ひ)・心(しん)・肺(はい)・腎(じん)」の五つの臓に分類し、それを「五臓(ごぞう)」と呼びます。五臓は、それぞれ別々の働きを持つとともに、相互に影響しあいバランスをとることで健康を保っています。このうち肝は「疏泄作用(そせつさよう)」といって、体の隅々にまで円滑に気血を巡らせる作用をつかさどっています。

 肝気鬱結とは、強いストレスで感情が抑え込まれて鬱々とし、「肝の疏泄作用」が衰えて気が滞り、気が滞った部位にしこりや痛みが生じた状態です。梅核気は、ストレスによって肝の疏泄作用が失調し、気の巡りが滞って喉の部分で塊のようになったものだと考えられます。



4.梅核気の鍼灸治療


先ほど述べたように、梅核気の原因は「肝気鬱結(かんきうっけつ)」です。治療は、うっ滞した肝気を改善することを目的に行います。これを「疏肝理気解鬱(そかんりきかいうつ)」といいます。「疏肝理気解鬱」に用いるツボは以下のようなものです。

 

 三陰交(さんいんこう)…補脾胃、助運化、通経活絡、調和気血

  消化器症状の他、生理痛や月経不順などの瘀血症にも用いられる。女性の特効穴。

 内関(ないかん)…寧心安神、鎮痛止痛、理気和胃

  気滞を取り除きながら、胃の働きを調整する。鬱、乗り物酔いなどに使われる。

 陽陵泉(ようりょうせん)…清肝胆、疎筋絡、利関節

  痺れ、痙攣など「筋会」。少陽経の経絡を調整する。

 期門(きもん)…疎肝調脾、理気活血、喀血化瘀

  足厥陰肝経の「募穴」。陽陵泉、太衝とともに疎肝理気、清肝利胆作用を促進する。

 太衝(たいしょう)…疎肝理気、平肝鎮惊、泄熱理血

  足厥陰肝経の「腹穴」。陽陵泉、期門とともに疎肝理気、清肝利胆作用を促進する。



 

                               「その二」に続く






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