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不妊症の6つのタイプとセルフケア



目次

 1.はじめに-東洋医学からみた不妊症

 2.不妊症の6つのタイプと改善のツボ

   ① イライラが収まらないタイプ【肝気鬱結症】

   ② 水太りタイプ【痰湿症】

   ③ 生理が刺すように痛いタイプ【血瘀症】

   ④ 顔色が悪い(血色不良)タイプ【肝血虚症】

   ⑤ 身体が冷えて足腰がだるいタイプ【腎陽虚症】

   ⑥ 手足がほてるタイプ【腎陰虚症】

  3.どんなタイプでも使える「三陰交」というツボ

  4.まとめ-あせらずツボと対話する




1.はじめに-東洋医学からみた不妊症



鍼灸院にいらっしゃっているお客様で、「結婚する前は、結婚すれば自然と子供が生まれて、子育てをするものだと思っていた」とおっしゃっていた方がいます。

妊娠、出産というのは自然の摂理で、誰にでも起こるものというある種の「常識」があります。しかし、たまたま自分の身に「妊娠できない」という事態が起こってはじめて、それが「常識」ではないことに気づきます。妊娠、出産というのは、自然の摂理ですが、そこには偶然を含めて様々な要素が精妙に関わり、はじめて成り立つものなのです。


妊娠や出産が「誰にでもできること」と考えられていた時代、不妊症は医療の対象として注目されることがありませんでした。漢方や鍼灸の世界では、婦人科の疾患については各種の記載があるものの、不妊症の治療については日本でも中国でも大きく扱われていません。江戸時代の代表的鍼灸書『鍼灸重宝記』でも、「子なきは三丘、中極、または腎兪、命門」とあっさり一行で片付けられています。


そんな不妊症ですが、現在の中医学や鍼灸学では大きな関心が寄せられています。そこで今回は、気・血・津液や臓腑・経絡の働きという観点から、異なる原因で起こる不妊症をタイプ別に分け、それぞれの症状とそれを改善するポイントとツボを紹介しました。


不妊症と取り組むにあたって、日ごろから東洋医学でいうところの「臓腑経絡を整え、気血の流れを調整」して、冷えを取ったり、生理不順や生理痛などを改善しておくことはとても大切です。そういった「妊娠しやすい環境づくり」が不妊症治療の前提になります。




2.不妊症の6つのタイプと改善のツボ



不妊症のタイプは大きく6つに分けられます。それぞれのタイプによって、改善のポインや使うツボも異なるので、まずは自分のタイプを知るところから始めてみてください。


① イライラが収まらないタイプ【肝気鬱結症】

肝気鬱結症は,ストレスによって、肝血の不足と機能の低下が起こった状態です。

抑うつ感やイライラした状態が続くと、肝の機能が低下し、PMS(月経前症候群)や生理不順などを起こします。

 

 主な症状

  ・イライラしやすい

  ・気分にムラがあり、明るいかと思うと、急に押し黙ったりする

  ・抑うつ感がある

  ・生理周期が一定せず、早くなったり遅くなったりする

  ・生理前に肩こりや頭痛があり、生理がはじまると改善する


 生活改善のポイント

  肝の働きに大敵なのはストレスです。肝気鬱結の改善のためには、ストレスをなる

  べく避けたり、ヨガや呼吸法などの自分なりのストレス低減法を見つけて、自律神経

  を整えるようにしてください。


 改善のツボ

  ・膻中(だんちゅう);左右の乳首を結んだ線の真ん中

  ・内関(ないかん):腕の内側で、手首の皺から3~4㎝ほど上がったところ



② 水太りタイプ【痰湿症】

痰湿は,肥満傾向や脾・腎の機能低下の人が過食することにより、体の中に余分な水分がたまったことで問題が起きている状態です。

痰湿になると、気血の流れの悪さや衝脈と任脈の機能低下が出現して、卵巣機能の機能低下を起こします。


 主な症状

  ・寝ても寝ても、寝たりない感じがする

  ・疲れやすく、食べるとすぐに眠くなる

  ・色白で、皮膚がブヨブヨしている

  ・生理時、下腹部や腰が重だるくなったり、痛んだりする

  ・生理の周期が遅れ気味で、期間が長くなりやすい


 生活改善のポイント

   このタイプに多いのは、「水を飲めば健康になる」と思ってしょっちゅう水分を摂

  ったり、冷たいものを好んで飲食したり、あるいは暴飲暴食が過ぎるような食生活上

  の問題を抱えていることです。まずは食生活を見直して節制した食生活を心掛け、と

  くに水分を控え温かいものを摂るようにしてみてください。

   

 改善のツボ

  ・陰陵泉(いんりょうせん):足のくるぶしから膝に向かって骨に沿って指で押し上

      げていき、膝の下で骨に当たって止まるところ

  ・地機(ちき):陰陵泉の下5~6㎝で、骨の際を押して痛むところ



③ 生理が刺すように痛いタイプ【血瘀症】

血瘀症は瘀血症ともいい、血の流れが悪いことにより、からだの中の血が停滞し、よどんだ状態です。ただし、実際の血液と漢方の「血(けつ)」とは異なり、昔から「血の道症」という言葉がありますが、それが漢方の血に近い概念です。

血瘀には月経痛や冷え性を伴うことも多く、無排卵や子宮内膜症などになりやすくなります。


 主な症状

  ・顔色が沈んで黒ずんで見え、唇が紫がかっている

  ・冷えに弱く、冷えると症状が悪化する

  ・少しぶつかっただけで、青あざができやすい

  ・生理時に刺すような痛みがあり、夜間に痛みが増す

  ・生理2、3日目に暗紫色の血塊が出たり、不正出血がある


 生活改善のポイント

  主な原因は、様々なタイプの冷えです。冷えは、筋肉や血管を収縮させることで、

  血流の悪化をまねきます。クーラーの使い過ぎや冷たいものの摂りすぎはもちろん、

  ストレスも血を巡らせる気の流れをとどこらせます。ストレスや冷えを避けたり、「温

  活」に励んでみてください。


 改善のツボ

  ・血海(けっかい):膝の皿の内側の上端から3~4㎝上がったところ

  ・委中(いちゅう):膝の後ろのしわの中央で脈打つところ



④ 顔色が悪い(血色不良)タイプ【肝血虚症】

肝血虚症の原因には二つあり、一つは慢性疾患により陰血が消耗して潤養できなくなることであり、もう一つは肝の蔵血機能が減退して、喀血、鼻出血、月経過多などの出血が繰り返されて血が消耗することが原因です。

肝血虚症になると、めまいや不眠などが起こり、経血量の減少や無月経、不正性器出血(崩漏)などが起こります。


 主な症状

  ・めまいや立ちくらみをよく起こす

  ・皮膚がカサカサして、爪や唇の色が薄い

  ・寝つきが悪かったり、よく目が覚めたりする

  ・経血の色が淡く、サラサラしている

  ・経血量が少なく、生理が後れがちになる


 生活改善のポイント

  漢方では、血は皮膚や髪など、体をつくるための大切な材料になると考えられてい

  ます。その血を補うための食事をしっかり摂りましょう。とくに大切なのは動物性タ

  ンパク質と鉄分を豊富に含んだ食材です。また、その血を巡らせる「理気」作用のあ

  る香辛料や香味野菜を積極的に摂ってみましょう。


 改善のツボ

  ・足三里(あしさんり):膝の皿の下の外側のくぼみから下に5~6㎝のところ

  ・太衝(たいしょう):足の親指と第2趾の間を指ですり上げ骨にぶつかるところ



⑤ 身体が冷えて足腰がだるいタイプ【腎陽虚症】

東洋医学の教科書ともいえる『黄帝内経』の中には、月経が始まるのは腎の気の働きとされています。女性の一生の基本になっているのは腎の気の力の盛衰であり、腎気の不足は不妊の要因になります。


腎の気の不足、腎虚症には、腎陽虚症と腎陰虚症がありそれぞれ症状が異なりますが、中でも多い腎陽虚の場合、主に機能的な部分での働き悪くなって、陽の気が不足して身体全体のパワーが落ちて冷えてきます。

腎陽虚症になると、排卵がなくなったり、黄体機能不全,無月経などになります。


 主な症状

  ・冷え性で、夜トイレに起きる

  ・耳鳴りがすることがある

  ・ふだんから足腰が疲れやすく、だるくなったり痛くなったりする

  ・生理がはじまると、下腹部や腰に鈍痛があり、下半身がひどくだるくなる

  ・生理は遅れがちで、2,3か月無いこともある


 生活改善のポイント

   ともかく身体を冷やさないことが大切です。夏場も同じで、体を冷やさないように 

  クーラーの温度設定を高めにしたり、胃腸を冷やす冷たい食べ物や飲み物、とくに生

  野菜などはなるべく摂らないようにしてください。


 改善のツボ

  ・関元(かんげん):お腹の正中線上で、へその下5~6㎝のところ

  ・照海(しょうかい):足の内くるぶしの下端の下1~2㎝のくぼんだところ

 


⑥ 手足がほてるタイプ【腎陰虚症】

腎虚症のもう一つのタイプ腎陰虚の場合、陰の気が不足して虚熱が起こり、身体、特に手足がほてって疲れやすくなります。

腎陰虚症になると、子宮の陰液不足で生理周期が短くなったり、無月経などになります。


 主な症状

  ・夜中に手足がほてる

  ・耳鳴り、めまい、頭痛を起こしやすい

  ・腰や下肢の脱力感がある

  ・経血量は少なく、ときに赤紫の血塊が出ることがある

  ・生理周期、とくに低温期が短くなる傾向がある


 生活改善のポイント

  血や津液は、夜、身体が休んでいるときにつくられます。生活習慣を変えて、ゆっ

  くりと夜休んで疲れを溜めないようにしてください。適度に運動をして汗をかくのも、

  新たな津液をつくるのに効果があります。


 改善のツボ

  ・復溜(ふくりゅう):内くるぶしの上端から3~4㎝上のアキレス腱の際

  ・陰谷(いんこく):膝を少しまげて、膝の内側にできるしわの内端




3.どんなタイプでも使える「三陰交」というツボ


上のタイプ別に使えるツボの他に、女性特有の体調不良に必ず使われるツボがあります。それが三陰交(さんいんこう)です。三陰交は、足の内くるぶしから、骨に沿って5~6㎝上がった骨の際にあるツボで、特に生理に問題がある場合、押すと強い痛みがあります。


生理が順調で痛みもないという「妊娠しやすい環境をづくり」のためには、血液の生成を受け持つ脾、血液の循環をコントロールする肝、そして生命活動のエネルギーを蓄え、生殖器を支配する腎の働きが重要です。三陰交は、この3つの臓器とそれぞれつながる、脾経、肝経、腎経の3つの経絡が交わるツボです。三陰交に指圧したり温灸をすると、これらの3つの臓器を働きを同時に高めることができ、そういう意味で大変重要で役に立つツボということができます。




4.まとめ-あせらずツボと対話する



今回は不妊症を、①肝気鬱結症、②痰湿、③血瘀、④肝血虚症、⑤腎陽虚症、⑥腎陰虚症の6つのタイプに分類し、簡単な説明を加え、改善のためのポイントとツボを紹介しました。


それぞれのタイプの特徴を見て、自分に当てはまるタイプが分かったら、生活改善のポイントに注意して、ツボを指圧や温灸で刺激していただきたいと思います。また、2つ、あるいは3つのタイプに当てはまるという方もいると思います。そうした場合は混合タイプですから、両方、あるいは3つの項目をともに参考にしてみてください。使うツボの数がふえても、とくに問題ありません。


ツボを刺激するのは日に1~2回で十分です。ツボと対話するつもりで2~3分、ゆっくりと撫でさすったり、ときには強く押してみてください。あるいは、市販の温灸1個または2個ほどを使って、そのツボを温めてみてください。

大切なのは機械的に刺激を与えるのではなく、ツボの反応を見ながら、「整ってきたな」という実感を得らるようにツボを刺激することです。その際、焦りは禁物です。焦りはストレスとなり、肝気鬱結をまねきます。


最後になりますが、「妊娠しやすい環境づくり」のために、自分の身体のタイプを知り、毎日の生活習慣の改善に取り組んだり、日に1~2回、三陰交や改善のツボをゆっくり揉んだり、温灸で温めてみてください。体が軽くなったり、生理が整ってくるのを実感できると思います。そして、それが不妊症の改善につながります。

 

ご一読ありがとうございました。



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