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占いと「予言の自己成就」



目次


 (1)はじめに

 (2)「予言の自己成就」とは

 (3)誰にでも起こる「予言の自己成就」

 (4)「予言の自己成就」に基づいたコミュニケーション

 (5)「予言の自己成就」を占いに活用する



(1)はじめに


新型コロナウイルス感染症の流行が始まった2020年、感染が広がる中、トイレットペーパーがなくなるといううわさが広まり、実際に全国各地のスーパーやドラッグストアからいっせいにトイレットペーパーがなくなるという「事件」が起こりました。


まったく根拠のないデマでしたが、実際にドラッグストアからトイレットペーパーなどの紙製品がなくなりはじめると、噂を信じていない人も焦りを覚えて購入するようになり、ほんとうに店頭からさまざまな紙類が消えてしまったのです。


このように根拠のない噂や思い込みであっても、人々がその状況が起こりそうだと考えて行動することで、事実ではなかったはずの状況が本当に実現してしまうことを「予言の自己成就」といいます。



(2)「予言の自己成就」とは

「予言の自己成就」とは、自己成就(的)予言ともいい、アメリカの社会学者W・I・トマスが説いた「もし人がその状況を真実と決めれば、その状況は結果において真実である」という定理を基に、アメリカの社会学者ロバート・K・マートンが提唱した概念です。


人々の見方によって行動が変わり、噂や思い込みが真実になってしまうことは、規模の大小にかかわらず身の回りにあふれています。


大きなところで有名なのは、1973年に起こった「豊川信用金庫事件」です。

「豊川信用金庫事件」とは、「豊川信用金庫が倒産する」かもしれないという女子高生の他愛もないおしゃべりから始まったうわさを発端に、実際に取り付け騒動が起こって、豊川信用金庫が倒産の危機に陥ったという事件です。この事件は、デマがパニックを引き起こすまでの詳細な過程が明らかにされている珍しいケースのため、今では心理学や社会学の教材としてもよく取り上げられていますが、予言の自己成就の代表的な例です。


また、経済やビジネスの世界でも予言の自己成就という現象がよく起こります。今の日本に起きている不況は、みんなが不況になるのではないかと思ってお金を消費ではなく貯蓄に回した結果実際に不況になってしまったという、これも予言の自己成就ともいえる現象です。


 

(3)誰にでも起こる「予言の自己成就」


予言の自己成就は、大きな社会の中で起こるだけでなく、個人の勉強や仕事のパフォーマンス、あるいは対人関係に関してもひんぱんに起こります。


たとえば受験生が、不安から勉強するための時間を「きっと受験に失敗してしまうだろう」と悩むことに割いてしまい、実際に不合格になるのも予言の自己成就の例ですし、会社での評価で、ABC評価のうちAと評価された人は、自分自身への期待が高まりパフォーマンスが向上して良い成績を上げ、Cと評価された人は自分のことに落胆し、パフォーマンスが下がってしまい成績が下がるのも、ある種の予言の自己成就といえるものです。


また、アメリカの研究ですが、電話の向こうの女性が魅力的な女性だと信じて会話をした男性は、知らず知らずのうち、相手の女性が心地よく感じるような会話をし、その結果、相手の女性も魅力的に振る舞うようになった、ということがあったそうです。逆に言えば、相手を意地悪な人だと思って接することにより、あなたの振舞いが相手の意地悪な行動を引き出し、やはりあの人は意地悪な人だったと自己成就してしまうこともあるでしょう。


日常でも、乗り物酔いするのではないかと不安に思ってバスに載っていると、本当に酔ってしまったという経験した人は多いと思います。これなども予言の自己成就の例ですし、このサバは当たりそうだと思って食べたら、やっぱり当たってしまったという人も、薬やサプリメントが効くと思って飲んだら効いたという「プラセボ効果」も、ある種の予言の自己成就だということができるでしょう。



(4)「予言の自己成就」に基づいたコミュニケーション


それでは次に、予言の自己成就を活用したコミュニケーションについて考えてみます。


ある教師のクラスに、成績は同じくらいですが、おとなしくて真面目なAさんと、活発で乱暴なB君がいたとします。その教師は、「Aさんは真面目だから成績が伸びるに違いない」と思って、その能力が向上する期待して積極的にアプローチをします。するとAさんも、「先生は私のことをできる子だと思っているのだ」と感じてモチベーションが上がり、実際に成績が伸びるという現象が生じます。この現象を、ギリシャ神話に由来して「ピグマリオン効果」といいます。逆に、「B君は乱暴だからダメだ」と教師に思われたB君は、「俺はやっぱりダメな子なんだ」と、期待されないことでモチベーションが低下し、それにつれて成績が案の定低下する現象が起きます。この現象をピグマリオン効果に対して「ゴーレム効果」といいます。この2つはどちらも予言の自己成就現象の一例です。当初は成績が同じくらいだったのに、教師、Aさん、B君、それぞれ思いが予想通りの結果を導き出してしまったのです。

こうしたピグマリオン効果やゴーレム効果は、児童だけでなく大人にも起こります。

部下は上司から期待されていると感じると、モチベーションが上がります。その結果、さらに努力をするようになり、自然とより高い能力を発揮する。逆に、自分が期待されていないと感じたら、モチベーションも低下し仕事も投げやりになる。そうしたことはとくに珍しいことではありません。


この2つから明らかなように、相手を伸ばそうとするならば、コミュニケーションをとる時に、予言の自己成就効果を信じて「相手への期待を伝える」ことが大切です。自分が相手をいかに信用しているか、どんな可能性を信じているかを伝え、フィードバックを受けた人が前向きで主体的でいられるようにコミュニケーションをとることで、結果的に児童の成績が伸びたり、仕事のパフォーマンスが向上したりするのです。



(5)「予言の自己成就」を占いに活用する


それでは、以上の話を踏まえて、「占いをどう生活に生かすか」ということを考えてみましょう。


客観的に占いが当たるかどうかについては、すでに様々な研究が行われています。その結果は占いにとってあまりよいものではありません。西洋占星術で、ホロスコープにあらわれた性格と定評のある心理テストであらわれた性格とを比較した研究があるのですが、その結果ほとんど相関はないということが分かっています。このことを簡単に言えば、「西洋占星術は当たらない」ということになるのですが、それでは占いに意味はないのかといえば、そんなことはありません。それは、先ほど述べたように、人には「予言の自己成就」能力があるからです。


以前にも書きましたが、「一般に占いは、将来こうなるだろうという予想をもとに、自分の行動を変化させる技術です。占いに世界を変える力はありませんが、人のこころと行動を変化させることで、世界にちいさいながらも影響を与えることはでき」る技術です。「そして、小さいながらその世界に与えた影響で、あなたの生きる世界を確実に良い方向に変えていくことができる」のです。


したがって、占い師に占ってもらってその予言に納得できるなら、「自分でその予言をあてに行く」というというスタンスをとって占いを活用すればよいと思います。占い師の言葉を、自分にかけられた「期待」だと考えるのです。

 

「今年はいい運気で、いい出会いに恵まれる」という占いが出たら、それは無意識に刷り込まれて、自分から出会いの場に出かけたり、人から誘われたときにいつもなら断ってしまうのに何となく行ってみようという気になったりするものです。そうした行動の変化を占いが生む結果、出会いの回数が増えて、結果いい出会いに恵まれて占いが当たったということになったとしたら、それは予言の自己成就が起こったということです。


それを無意識にではなく、意識して積極的に「占いに応えよう」という気持ちで行動すること、それが「自分で占いをあてに行く」ということです。「自分で占いをあてに行く」という気持ちで行動することで、「今年はいい運気で、いい出会いに恵まれる」という占い師の予言が成就する確率が大きく上がり、占い通りの「いい出会いに恵まれる」という形の現実が出現するのです。それは、言ってみれば、「予言の自己成就」を促進したといってもいいかもしれません。


自分がこうなるかもしれないと思ったことが実際に起きるのですから、それは「占いが当たった」ということもできるでしょうし、「自分で運を引き寄せることに成功した」と言うこともできるでしょう。どちらにしても、占いをきっかけに人生が好転したなら、何の問題もありません。そんなやり方で、占いを生活に生かしていただければと思います。





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